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しるし(投稿作品)※長文

公開日: : 不思議な話 |73 view

その日は、昼間だというのに空が暗かった。
ただ単に曇ってたってだけかもしれないけど、たまに覗く太陽まで、灰がかったようにぼんやりしてたんだ。

当時俺は中学二年生、その日も、何時も遊ぶメンバー(A・B・C)で、何の事は無い、ただただチャリで街探検しながら、喉が渇けば自販機に立ち寄り、疲れたら目につく駐車場で休憩し、そんな風に過ごしてた。

休日は大抵こんな感じだったけど、それなりに街も活気づいてたし、このチャリ探検に飽きが来る事なんてなかった。
先週はこんな店無かったのになーとか、あのしゃぶしゃぶの店潰れたんだーとか、色んな発見があったから。
日が経つにつれ、大規模ではないものの、どんどん建物や道路も増えてったしさ。

話逸れてすいません。
これから話すのが、俺が唯一した不思議体験。
文才無いけど、一生懸命書くね。
無駄に長い上に、大して面白くもないから、暇で死にそうな時にでも読んでください。
自分や友達の会話は、確かこんな風だったなって感じで書きます。

その日は、さっき書いたように、疲れたから目についたスーパーの駐車場で、友達みんなとサイダー飲みながら休憩してたんだ。
一休みして、そろそろ出発するかって感じで、それぞれがチャリを動かそうとした時、白い軽自動車がBの横にゆっくり近付いて来て、そして止まった。
間髪入れず運転席から見知らぬおばさんが出て来て、物凄い勢いでBに話し掛けてきた。

おばさん「はぁはぁ B君!幼稚園以来ねー!げほっ 大きくなっておばさんわからなかったわぁ!げほげほっ」

B「??え??あの?」

おばさん「げほっ まさか中学校でまたB君に会えるなんて思ってもみなかったわよぉ!はぁはぁ うちの子と仲良くしてあげてねぇ~」

B「あのー…?ええと…えぇ…??」

めちゃくちゃ息を切らして喋りまくるおばさん。
でもBは全く理解できていない様子で、話が全然噛み合っていなかった。
マシンガンの如く話し続けるおばさんを遮るように、Cが声を上げる。

C「あの!どちら様ですか?俺達Bの友達なんですけど、何かBわかってなぃ、、」

おばさん「はぁはぁB君とまたお話出来るなんて嬉しいわぁ!おばさん夢にも思わなかっげほっげほげほっ」

話を遮られた事が気に入らなかったのか、ただのDQNなのか、完全にCを無視して話し続けるおばさん。

C「……何なのこのババア…」

小声でCが毒づく。
その間も、おばさんのマシンガントークは止まらず。
口の端に泡を溜めながら話し続け、ポカンと口を開けるBを前に嘔吐いている。

仕方がないので、話し終えるまで待つ事にし、CにはBとおばさんの監視とチャリ番を頼み、俺とAはスーパーにお菓子を買いに入った。
お菓子コーナーでうまい棒を物色し、残り六本の明太子味を買い占め、レジに列ぶ。
その時Aが呟いた。

A「あのおばさん寒くないんかな?初冬なのに半袖って。俺なんてジャンパー着ないとキツイよ」

確かにおばさんはTシャツだった。
黒と緑の、妙な斑模様のTシャツ。

俺「車ん中にいたからじゃね?あとデブだから寒さ感じねーんじゃん?」

A「ちょw俺の親父デブだけど超寒がりだよw」

俺「燃費悪ぃなーw」

そんな会話をしつつ、レジを終え駐車場へ。
丁度おばさんが出発したところだったらしく、白の軽自動車が勢いよく駐車場を出て行った。

A「話ついたの?」

C「あのババアマジで頭おかしいよ!全然人の話聞かねぇし半袖着てやんの!」

俺「半袖は別に関係なくね?w」

A「結局誰かわかったの?」

B「いや全然w最初から最後までわからんかったw誰あれw」

俺「名を名乗らず去ったのかwどこぞのヒーローだw」

C「明らかに悪党だろあれww」

そんな談笑をしながら、改めて出発するかって時に、Bが叫んだ。

B「あ!これ!何かあのおばさんがH地区のマンションに届けてくれって」

A・C・俺「はぁぁ~~!?」

C「馬鹿じゃねぇの!?マジで馬鹿じゃねぇのあのババア!車で行きゃ良いじゃん!てか見知らぬ少年に頼み事すんなよ!悪党だよやっぱり!信じらんねぇ!」

A「いやでもほら、向こうはBの事知ってるみたいだったし、見知らぬ少年ではないよ」

C「んな事どーでもいーわ!てか断れよB!引き受けんなよ!」

B「だって強引に握らされたんだもん;返そうとしたら帰っちゃったし…」

C「んだよ俺近くにいたのに全然気付かなかったわ!わかってたらサイダーの飲みカスと一緒に返してやったのに!クソー!」

俺「で、何渡されたん?」

B「よくわかんない…。何だろこれ」

Bの手を見ると、確かによくわからない物が乗っかっていた。
見た目はお菓子のおまけでついてくる、小さい女の子がするような、五百円玉サイズくらいのペンダントトップ。
薔薇?牡丹?みたいな形をしてて、色は緑っぽい蛍光色、触ると少し柔らかく、樹脂か何かで出来てるのかなという印象だった。

C「……これをわざわざ届けろと?」

B「……だね」

A「迷惑もいいとこだね」

俺「もうそこら辺に置いて行こうぜ」

A「そこの縁石に置いておけばスーパーの人が拾ってくれるんじゃない?カウンターに落とし物箱あるし、あのおばさんが買い物した時にでも気付くでしょ、多分。来るかわかんないけど」

C「はい!そーゆー事で、、」

Cが喋りながら、Bの手の平のそれを取り上げようとした時、Bは勢いよく手を振り払った。

C「痛って…」

B「ごめん;;……俺これ届けるわ」

A・C・俺「はぁ!??」

B「だってあのおばさん俺の事幼稚園から知ってるみたいだったし、つー事は俺の親も知ってるワケでしょ?もし届けなくて親に連絡あったら……」

A・C・俺「……………」

B「俺だけ行ってくるよ。H地区ならここから十分くらいだし」

俺「アホか。俺らも行くよ」

C「お前一人で行かせる訳にはいかねーよ」

A「仲間だろ、俺ら」

B「お前ら………」

全員「何この茶番ww」

そんな馬鹿な会話をしつつ、それぞれが自分のチャリに跨がる。
時間はまだ十四時、届け物をしても、たっぷり時間はある。

A「H地区方面にはしばらく行ってなかったし、新たな発見があるかもね。良い機会だよ」

C「あのH食堂潰れてっかもな!もう殆どお客いなかったしさ!」

俺「あそこ潰れても新しい店入んなさそーだよね。何か入りづらいし」

B「場所が悪いよねー」

俺「ところでどこのマンション?」

B「K神社近くのHハウスってとこだってさ。ちなみに五○二号室」

C「ん?あそこら辺にマンションなんてあったっけ?」

A「新しく出来たんじゃないの?ずっと前行った時はコンビニの後ろにアパート建ててたじゃん?」

C「住居ラッシュか…」

俺「でも神社付近にマンションスペースなんて無かったような…」

B「取り敢えず出発しようぜ」

冷たい風に吹かれながら、H地区へ向けてチャリを漕ぎ出す。
くだらない話に花を咲かせつつ、俺達は順調にH地区へ進んで行った。

数十分後、無事K神社前に到着。
直ぐさまそのマンションは見付かった。
と言うのも、平家が多い住宅地だったので、五階建てのマンションはあからさまに目立ったのだ。

俺「最上階の人か…」

A「それにしてもデカいねー。周りの家潰して建てたんだねこれ」

チャリを押しながら、マンションの入り口に向かう。

C「うぉーすげー!オートロックってやつじゃねあれ!」

玄関に近付くと、ガラスのドアから電気錠?(あの扉を開けるボタン押す機械)がちらりと見えた。
その頃は、俺達に取ってオートロック式のマンションは珍しく、実際に見るのは皆初めてだった。

B「こんなとこに住んでる人が本当にこんな物必要なんかな…」

例の物を見つめながら、Bが不安そうに呟く。

A「オートロックのマンションに届け物頼むなんてあのおばさんも無茶言うよねー」

C「悪党ババアだからな」

取り敢えず、玄関へ入る分厚いガラスドアを引いて、中に入った。
住人が来たら、理由を話して管理人に連絡して貰おうと思った。

お喋りをしながら待っていた所、二十分くらいしてから、一人のおばさんが玄関に入ってきた。
そして俺達を見て早々、
目を真ん丸くして、まるで珍しい物でも見るかのような顔で立ち止まる。
不審者扱いされたらヤバいと思い、慌てて声をかけた。

俺「あの、人から頼まれて届け物を持って来たんですけど、俺ら入れないし、管理人さんか誰かに連絡取れませんか?五○二号室の人に渡したいんです」

おばさん「……五○二……届け物?」

B「はい。これなんですけど…」

Bが恐る恐る手に持ったあれを見せる。

おばさん「…あら!あらあらあら…ふふっ」

おばさんは嬉しそうに笑った。

おばさん「鍵は掛かってないから、このドアの先の中庭で待ってて」

A「え??」

C「鍵掛かってねーのかよ!」

おばさん「うふふっ。……あなた達がねぇ…。そう……ふふふ」

少々不気味に思いながらも、言われた通り目の前のドアを開ける。
おばさんの言った通り、鍵は掛かっておらず、四角格子のドアはすんなりと開いた。

おばさん「ちゃんとそこで待ってるのよ。ふふっ」

そう言うと、おばさんは元来た道を戻って行った。

ドアを開いた先には、四メートルくらいに伸びたコンクリートの道があり、その延長線上に、四方と天井をガラスで囲んだスペースがあった。
わかりづらいかもしれないけど、こんな感じ。

上から見た図↓

| 入り口 |
| |ドア| |
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
| 玄関 |
|_〇←電気錠|
| |ドアA| |
| ̄| ̄ ̄ ̄| ̄|
マ| 進行方向 |
ン| | ↓ | |
シ| | | |
ョ| |___| |
ン|| ̄|ドア| ̄||
内||  ̄ ̄ ̄ ||
の|| ガラス内 ||
外|| スペース ||
壁|| ___ ||
|| |ドア| ||
| ̄| ̄ ̄ ̄| ̄|
| | | |
| | | |
 ̄| ̄ | |
ド| | |
ア| | |
B| | |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

ホントわかりづらくてごめん(汗

A「中庭ってこのガラスの中の事?」

B「んー… かなぁ…」

C「緑が一切無いな!中庭らしくねぇ!」

俺「まぁここで待ってればわかんじゃね?丸見えだし」

ガラスのドアを開き中に入ると、玄関よりもずっと暖かく、思わず「うはぁ~」なんてだらし無い声を出してしまった。

C「あ~~超あったけぇ~~」

B「春の到来じゃ~」

俺「いやいや夏の訪れじゃ~」

A「まだまだ冬は始まったばかりだよ」

B・俺「真面目か!」

A「暖房器具無いのに暖かいって不思議だね。天窓も無いし……日光届かない筈なのに」

B・C・俺「真面目か!」

C「基本的に室内はあったけぇんだよ!多分!玄関寒かったけど!」

またも馬鹿話を始めて、うまい棒を食べるというDQN行動をしようとしたその時、俺達が入って来た反対のドア(図のドアB)からおじさんが出て来た。
そして俺達を見て、凍り付いたような表情を浮かべ、言った。

おじさん「何でこんな所に…!」

絶句といった感じ。
ガラス越し、しかもそれなりに距離もあったにも関わらず、声がよく聞こえた。

やべぇうまい棒食ったら怒られる!とガキ丸出しの思考回路で、すかさずおじさんに言う。

俺「ごっ ゴミは持ち帰りますから!」

A「食べカスもちゃんと拾います!てか散らかさないように食べ、、」

Aが言い終える前に、おじさんがこちらに駆け寄り、物凄い剣幕で怒鳴りつけてきた。

おじさん「早く出てけ!!のまれるぞ!!」

C「は??」

A・B・俺「???」

おじさんはガラスのドアを開けて入って来てすぐ、俺達を強引に中から追い出した。
すぐにドアAを開き、怒り口調でおじさんは続ける。

おじさん「早く逃げろ!!帰れなくなるぞ!!」

訳がわからず、俺達は互いの顔を見合って戸惑う。
ただ、おじさんがめちゃくちゃ怒っている事はわかったので、届け物がある事と、ここで待つように言われた事を伝えた。

B「これを五○二号室の人に届けなきゃいけないんです…」

C「ここのおばちゃんに待ってろって言われたし」

おじさん「五○二号室…?……それは……!」

Bの手を見て、おじさんの顔が更に強張る。

おじさん「誰にそれを貰った!?どこで貰ったんだ!?」

B「スーパーの駐車場です…知らないおばさんから…」

A「向こうはBの事知ってたみたいだけど、Bは最後までわからなかったみたいです」

おじさん「何て事だ……」

愕然とした様子で、おじさんが手で顔を覆う。

おじさん「とにかく早くここから、、」

おじさんが喋ったと同時に、奇妙な音が聞こえた。
買い物袋を擦り合わせるような、カサカサ、シャリシャリといった感じの。

おじさん「クソッ!君達、ガラスの中に戻れ!早く戻れ!!」

おじさんの勢いと口調に押されて、俺達は大急ぎでガラスの中に戻った。
それに続き、おじさんも中に入る。

おじさん「いいか!これから俺の言う事をよく聞け!このままじゃ君達は二度と家には帰れない!でも俺の言う通りにすれば、必ず帰れる!……今日はな…」

A「……今日は…?」

おじさん「とにかくだ、信じられないかもしれないが、今から異質なモノがここに来る。君達は絶対に見ちゃいけない。絶対にだ」

B「異質なモノ…?何ですかそれ…?」

おじさん「……嫌でも身体で感じるよ。いいか?絶対に見るなよ。のまれるからな。最悪見たとしても、目だけは見るな。絶対に。約束だぞ!」

C「んだよワケわかんねぇよ!何なんだよ!」

おじさん「気持ちはわかるが、今は俺の言う通りにしてくれ。君達は俺が守る」

会話をしてる間も、ビニール音は止まず、むしろ大きくなっていく。
大きくなるにつれ、ビニール音だけじゃなく、金属がぶつかり合うような音が混じっている事に気が付いた。
例えると、ビニール袋に釘やネジ等を入れて、それを手でくしゃくしゃに揉んでいるような音。

おじさん「君達、円になってしゃがめ!目を瞑って動くなよ!」

もう言われた通りにするしかなかった。
異様な空気に包まれているのはよくわかったし、おじさんの様子からして、適当な事を言っているようには見えなかった。
それに帰れなくなるのは困る。
数学のプリント二枚と、理科の自主学習の宿題が残ってたから。
今更ながら、何でこんな悠長な事考えてたんだろうと不思議に思う。

それから数秒、沈黙の後、おじさんが小さく呟いた。

おじさん「……来た……」

その言葉の後、あの金属音がガラス内いっぱいに響いた。

ギィンギィン!!キィーー……ギャリギャリ!!ガチン!ガチン!ギリギリギリ……

耳と頭がおかしくなるかと思った。
もはや金属とは思えない轟音。

シャリシャリ…ガサガサッ…シャリシャリジャリジャリ……ギィン!ギィン!!……
……ア゛ ゛ ゛゛ギィィー!!ァァ゛゛゛ギャギャギャ!!!

身体の右半分に振動が伝わってくる。
いつも強気なCが震えているのだ。
Bは泣いているのだろうか、ずるずると鼻を啜る音が聞こえる。
Aは何かおまじないのような言葉を小声で唱え、時折歯をがちがちと鳴らす。
俺はというと、もう失禁寸前だった。

ギチギチギチ……
アァ゛゛゛~~~…ァ゛ァ゛゛~~ギャリギャリギャリギャリ………

音に混じって、何か声のようなものも聞こえる。
でもそんな事はどうだってよかった。
ただただ、早く終わってくれ!死にたくない!早く帰らせてくれ!と、心の中で叫ぶしかなかった。

おじさんは俺達の肩をがっしりと抱き、守るように身体を被せてくれて、俺達を怒鳴った時と同じように、声を張って叫んだ。

おじさん「この子達はやらん!」

はっきりとした口調だったが、おじさんの声は震えていた。
震えた声で繰り返してた。

おじさん「やらん!やらん!やらん!やらん!」

俺はもう恐怖と絶望で自然と涙が流れ、気が遠くなりそうになるのを必死で堪えてた。
よく発狂しなかったなと、今はひたすらに感心する。

ギャリギャリ……ギチギチギチギチ………
ア゛ア゛゛ァ゛ーー………マダ゛……オワ゛ァラ゛゛…ナイィ゛゛゛~~……
シャリシャリ……シャリ……ガサ…ガサッ…ガサ…シャリ…シャリ………
………………………
………………

どのくらい時間が経ったのか皆目見当がつかなかったけど、段々とその音は小さくなり、次第に消えていった。

おじさん「……行ったか………」

おじさんの安心したような声を皮切りに、俺達は一斉に泣きわめいた。
そりゃもうわんわん泣いた。

おじさん「もう大丈夫だ。よく堪えたな、偉かったぞ君達」

おじさんはそれぞれの頭をくしゃくしゃと撫で、微笑みながらまた肩を抱いてくれた。
俺の中の無二のヒーロー、仮面ライダーアマゾンを、おじさんが上まった瞬間だった。
震えながらも守ってくれた。
マジで格好良かった。

おじさん「……ただ、まだ安心は出来ない。君達には”しるし”がついてしまった…。今度は自分達で何とかするしかない」

B「!?今度!?まっまた今みたいな事がっ!?また今みたいなのが来るって事ですかっ!?」

おじさん「……………」

B「なっ何なんですか今のはっ!?説明してください!!これは何なんですかっ!?」

興奮するB、手の平に乗せた物を、おじさんの顔に突き付ける。

おじさん「……ごめんな……」

B「ごめんじゃわかりませんよ!わかるように説明してくださいよっ!!」

おじさんは俯いて、ごめんと繰り返すだけだった。

B「何で俺らがこんな目に…!話してくださいよ……話す義務があるでしょおじさんにはぁ!!」

俺「おい!やめろよ!」

おじさんの胸倉に掴み掛かろうとしたBを、慌てて制止する。
Bの気持ちは痛い程よくわかったが、それでも俺は知りたくないと思ってしまった。
知ってしまったら、今まで通りの何気ない生活が壊れてしまいそうな気がして、恐かった。

C「おい!A!!A!!どうしたんだよ!!おい!!」

いきなり発っせられたCの大声にびっくりして後ろを振り返ると、うずくまったAをCが必死で揺さ振っている。

俺「どうかしたのか?」

C「何かAがぶつぶつ言って動かねぇんだよ」

すかさずおじさんがAに駆け寄る。

おじさん「おい、大丈夫か!?まさかあれを見たんじゃないだろうな!?」

A「………………」

おじさん「おい!しっかりしろ!君にはまだちゃんと残ってるぞ!」

A「……………。黒と……緑だった……」

俺「……え…?」

A「黒と…緑…。あのおばさんの服と一緒…。でも……人じゃなかった……」

おじさん「……見たのか…?」

A「一瞬見えた…。D(俺)の後ろ…動いてた…」

おじさん「まさか目は見てないだろうな!?」

A「身体…?だけ…だと思う。黒と……緑……。斑の……」

B・C・俺・おじさん「……………」

A「まだ終わらないって……まだ終わらないって言ってた……」

C「何…??」

俺「まだ終わらない?」

A「…黒と…緑……黒と緑黒と緑黒と緑黒と緑黒と緑黒と緑黒と緑黒と緑黒と緑黒と緑黒と緑黒と緑黒と緑黒と緑黒と緑黒と緑黒と……」

異様だった。
Aを強く抱き締めるおじさんは、泣いていた。
俺達は、その光景を茫然と見ているしかなくて、無気力に立ち尽くした。
何も考えられなかった。

それから数時間、本当はすぐにでもマンションから出て行くべきなんだけど、とおじさんは言いいつつも、Aが落ち着くまで、二階にあるおじさんの部屋で休ませてくれた。
皆無言で、ベッドで横たわるAの回復を、ひたすら待った。

気が付けば、時刻は二十時。
本当に帰らなきゃマズイという雰囲気になった時、Aが声を出した。

A「………恐かったぁ~~~」

間抜けな声色に、力が抜けた。
皆の顔が緩み、ほんの少しだけ、穏やかな空気が流れた。

C「ばかやろー!拍子抜けしたじゃねぇかよ!」

B「良かったよAー(泣」
俺「心配かけやがって!お帰りA」

A「ごめんね皆…」

おじさん「一安心だな。何ともないか?」

A「あ、はい。何とか大丈夫です。あ;ベッド占領してすみません;」

おじさん「子供が気を遣うんじゃないよ」

A「……おじさん、どうもありがとう。おじさんのお陰で助かったんですよね?」

おじさん「……一応そう…なのかな…」

それを聞いて、Aはにっこりと微笑んだ。

おじさん「とにかく、大丈夫ならここから早く出た方が良い。何故かはわかるな?」

A「……はい」

おじさん「下まで送ろう。それからこれは…」

B「あっ…」

おじさん「俺が預かっとく」

おじさんはあの例の物を、人差し指と中指で挟み、静かに笑った。
そしてAが起きてすぐ、早々と部屋を出て、すっかり真っ暗になった外を窓越しに確認し、玄関まで下りた。

おじさん「気をつけて帰れよ」

全員「はい、ありがとうございました」

おじさん「それからな、ここには二度と近付くな。そして何より、君達には”しるし”がついてしまた。もしまたあの音が聞こえた時は……」

B「縮こまって目は見るな、ですよね?」

おじさん「……違う。今度は何があっても目を逸らすな」

C「はぁ??」

おじさん「”しるし”がついたらそうするしかない。のまれたくなかったら…な…」

全員「………………」

もう誰も質問しなかった。
それぞれが小さく頷き、Cが先頭で、玄関の分厚いドアを開いた。

おじさん「元気でな…。絶対に……のまれるなよ……」

振り返ると、そこにおじさんの姿は無かった。

全員が勢いよく自分達のチャリに駆け寄り、必死でペダルを漕いだ。
自分の家を目指して、漕いで漕いで漕ぎまくった。

それからは、互いに無言のさよならを目で伝え、それぞれが無事帰宅。
そして同じく、大目玉を喰らった。
Cに至っては、夕飯のトンカツをハーフサイズにされたそうだ。
成長期にはキツイお仕置きだったろう。
夜中にこっそりうまかっちゃんを食べたのは秘密だという。

その日から二十年ちょっと過ぎた現在。
期待を裏切るようだが、俺達は平穏無事に過ごしている。
Aについては不安だったが、外資系の仕事に就き、今夏には三歳年上の人と結婚するそうだ。

社会人になってからは、仕事や家庭の事情でなかなか皆と会えずにいるけど、それでも携帯では頻繁に連絡し合っている。
年賀状も毎年やり取りしてるし、皆それなりに元気そうだ。

そしてまたも期待を裏切ってしまうが、この件での、『何故おばさんがBを知っていたのか』、『例の物』、『五○二号室』、『しるし』、『のまれる』、『黒い緑の生物』、『おばさん×二』、『おじさん』etc…の謎は、未だ解けずにいる。
あれ以来あのマンションには近付いていないのだが、その件があった翌年に、K神社へ初詣をしに行った友人によると、そんなマンションは近くに無かったという。
そもそもそんなスペースどこにあるの、と鼻で笑われた。
チキンな俺は確認しに行く勇気なんて無いので、そこは勘弁して欲しい。

それとつまらない余談だが、ミスチルの”しるし”が大ヒットした時は、マジで毎日が鬱だった。
めちゃくちゃ良い曲だけど、俺達のダメージは相当なものだったよ。
これはCもBも言ってた。
ビニールの音もどうも苦手で、買い物にはエコバッグ(ていうかカゴ)を毎回利用している。
それなりに地球に優しい男に成長した。

あと、休日に娘とよく行く遊園地があるのだが、そこにあるお化け屋敷がどうしても苦手だ。
乗り物に乗って行く、本当に子供騙しの物だけど、後半で出て来る宇宙人がどうしても恐いんだ。
色がさ、あのおばさんのTシャツと一緒なんだよ。

黒と緑の斑模様。

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Comment

  1. 匿名 より:

    作り話っぽいしオチもないしつまらん

  2. 匿名 より:

    『真面目か!』って流行り出したの最近じゃなかったっけ?
    ネタ乙

  3. 匿名 より:

    アニメの見すぎ乙

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