祖母と兵隊さんなどノンジャンル や都市伝説・意味がわかると怖い話のサイト

祖母と兵隊さん

公開日: : ノンジャンル , |45 view

昔、祖母から聞いた話です。

昭和20年春先の事。
祖母は戦時中強制的に工場で働かされていた上、子供達とは集団疎開で離ればなれに暮らしていました。

祖父は海軍に出兵していたそうです。

仕事が終わると夜は狭苦しい部屋に10人くらい詰め込まれていました。

日頃から監視の目が厳しく、少しの自由も与えられませんでした。

祖母は、全てを投げ打って国の為に尽くした私達に国は何をしてくれたのか?愛する夫を死地に送り、子供達とは離ればなれの生活。病気で亡くなった母とも会えなかった。

こんな不条理に愛想を尽かした祖母は工場の脱走を試みました。

当然周りは「日の丸万歳」な人ばかりなので、誰にも話すことなく機会を窺っていました。

ある時工場から出荷するトラックがある事を知り、荷台に乗り込み途中走るトラックから飛び降りたそうです。

落ちたのは砂利道の上で、手や足を擦りむきあちこちから血が流れ落ちました。

痛い。だけどそんな事よりもう少しで子供達に会える…そう思った祖母は前へと歩き出します。

2時間ほど歩くと日が傾いてきて、辺りはすっかり薄暗くなってきました。

当然外灯などない中、祖母は一心不乱に歩き続けました。

4時間ほど歩いた頃でしょうか、さすがに足が思うように動かず、祖母は夜を明かす為近くの家を探しました。

程なくして村を発見しました。村と言っても3軒しか家がなかったそうです。

しかし辺りは疎開の後か誰も住んでいる気配はありません。

祖母は「どちら様か分かりませんが一晩泊めて下さい」と手を合わせ、一軒の家に上がり込みました。

月明かりが差し込む囲炉裏の前で火を起こし、足をさすっているうちに疲れからかウトウトしていたそうです。

暫くしてガタガタッと戸が開く音で目覚めました。

目を向けると、若い兵隊さんが立っていて

「あなたはどちら様ですか?何故私の家にいるのですか?」

と聞いてきました。祖母は

「子供達に会う為歩いていましたが、暗くなって困っていたところ、この村を見つけました。誰もいなかったので申し訳ないのですが勝手に上がらせてもらいました。すみません」

と謝ると兵隊さんはニッコリ笑い

「そうでしたか…それは大変でしたね。こんなところで良かったらゆっくりしていってください」

と言って帽子を取ると囲炉裏の向こうに座りました。

見た目二十歳くらいだろうか?祖母から見たら小さい時、病気で亡くなった弟のような感じでした。

それにしても戦争中に自分の家に戻ってくる事が出来るだろうか?と思っていると

「母さんも姉さんもどこへ行ったんだろう…」

と少し苦しそうな表情を浮かべました。

「お顔が優れないようですが、大丈夫ですか?」

と問いかけ、兵隊さんを覗き込むと祖母は「ヒッ!」と驚いて尻餅をつきました。

よく見ると、先ほどと違い兵隊さんの顔や手は焼けただれ軍服はボロボロになっていました。

怖くなった祖母は逃げようとしましたが、兵隊さんは

「待って下さい!あなたを驚かせるつもりはありませんでした。私はただ家族に会いたくて戻って来ただけなのです。…元々私は戦争には行きたくなかったのです。しかし今の時代、そんな事を言えば非国民と罵られ母や姉に迷惑がかかってしまいます」

そして少し間をおき躊躇いながら

「………あなたが思っている通り、私はもうこの世のものではありません。それでも私は最後に母や姉に会いたかった。ただそれだけなんです」

と涙を流していました。

怖がっていた祖母は亡くなってしまっても家族に会いたい、という兵隊さんの気持ちに切なくなり一緒に涙を流したそうです。

と、同時に同じように出兵している祖父が浮かんで、やりきれない気持ちになりました。

兵隊さんは

「私の為に涙を流してくれてありがとうございます。…母や姉に会えなかったけど、最後にあなたのような優しい方に会えてよかった…」

と微笑みながらだんだん薄らいでいきました。

「待って!あなたのお名前は?」

「〇〇です…」と呟くと祖母は立ち上がり

「〇〇君万歳!〇〇君万歳!」

と涙ながらに叫びました。

それを見た兵隊さんは敬礼したまま消えていったそうです。

消えたあとも涙が止まらず、祖父や子供達に会いたいという気持ちが一層強くなりました。

やがて夜が明けると祖母は子供達に会うため歩き出したのです。

祖母と兵隊さんの情報やノンジャンルのノンジャンルのまとめや実話、ランキングや短編長編など「怖い話・心霊話・都市伝説投稿サイト

にほんブログ村 哲学・思想ブログ 心霊・怪談へ にほんブログ村 2ちゃんねるブログ 2ちゃんねる(オカルト・怖い話)へ

Comment

  1. Rey より:

    ガチ泣けた

  2. 匿名 より:

    遠野物語では、魂で浮遊してという話がある。

Message

メールアドレスが公開されることはありません。

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <s> <strike> <strong>

関連記事

虚ろな目の女

この話は、私の父が生前体験したことを、なるべく当時の様子を変えず、またその時の父の口調、内容を崩さぬ

記事を読む

鬼とのチャンネル

624 本当にあった怖い名無し New! 2007/06/21(木) 01:03:23 ID

記事を読む

井戸に落ちる女の子

うちの会社は結構ブラックで、絆を深めるためなのか精神修行なのか知らないけど毎年、新入社員に山登りとか

記事を読む

凶器

近ごろの警察はなにやってるんだろうね。 血税でで食わせてもらってるくせに、ろくな働きしねぇんだから

記事を読む

管理人からのお知らせ【東北地方太平洋沖地震で思うこと】

ごめんなさい、お知らせというほどでもないのですが、 私のまとまりのない文章を公開させてください。

記事を読む

おまえの隙間

ぼくたちあわせて一人しかいなかった ねぇなんでこっち見てるの? なんであの時連れてってくれな

記事を読む

古き神降臨

お前らオカルト好きなら知ってるヤツも多いと思うがクトゥルフ神話ってあるよな。 H.P.ラブクラフ

記事を読む

入れ替わった

小3のとき、母親と先生が入れ替わった。 本当に理解できないんだが、 いままで幼稚園の送り迎え

記事を読む

ボタン

ある日、私のもとに黒服を着た男がやってきた。きっちりとしたスーツに白いネクタイがよく似合う顔つきだ

記事を読む

神戸の高2殺害事件

821 :本当にあった怖い名無し:2010/10/06(水) 08:39:54 ID:Pij/NQN

記事を読む

監視カメラ 障害報告

1.タイトル  ○○様 倉庫内 監視カメラ正副故障 2.障害発

電車のつり革

仕事帰りのある日、いつものように終電に乗って家に帰ることにしました。

濡れたチケット

以前、某コンサートホールでバイトをしていました。 そのときの経験

お姉さん

オレの叔母さんから聞いた話。 叔母さんが一人暮らしをしている息子

家電量販店B

 家電量販店Bはお客さんとしてお店に行くには問題ありません。  しか

→もっと見る

  • 皆様の怖い話の投稿お待ちしております。

  • 人気ブログランキングへ
  • 20代後半結婚適齢期の家事手伝い。最近の趣味は廃墟めぐり。
    皆様の怖い話の投稿お待ちしております。

    相互リンク・RSS大募集中です
    こちらのフォームまでお気軽にご連絡ください
    ご連絡いただかなくとも、こちらでアクセスランキングを見て定期的にアクセスがあることを確認しましたらリンク・RSS登録致します。

    当サイトのご利用は、自己責任でお願いします。当サイト及び外部リンク先のサイトを利用したことにより発生した、いかなる損失・損害についても当サイトは一切の責任と義務を負いません。

  • ブログパーツ

PAGE TOP ↑